マンション購入で失敗する方法
こんばんは。
不動産鑑定士のケイです。
2020年の東京五輪を前に、景気回復と建築費の高騰で東京都心の新築マンションは庶民にとっては高嶺の花になりつつあると思います。
ひと昔前は、一戸建ては土地が高くて買えなくて、仕方なくマンションを買うという図式が少なくともありましたが、最近の統計によると戸建住宅よりもマンション価格の方が高くなっているそうですね。
都心部の新築分譲のDINKS~ファミリー向けマンションの広告などを見ていると50~70平米で6000~8000万円というのが普通でしょうか。
旦那さんだけの年収で買える人はごく、限られているでしょう。
一般所得層で言えば、夫婦共働きでないとやや安めの5000~6000万円のマンションでも大変だろうと思います。
そこで、中古マンションを求める人が増えているそうです。
ITバブル崩壊後やリーマンショック後の建築費や土地代が安かったころに建築された築10~15年程度の中古マンションが、新築分譲時よりも高い価格でも売れる状況となっています。
さて、そこで、不動産鑑定士の目線で見て、中古マンション選びで失敗する方法を皆さんにお伝えしたいと思います。
- 1.最寄り駅から徒歩10分以上の立地
- 2.立地は良くても専有部分に難あり
- 3.交通量の多い幹線道路・線路・高速道路に面している
- 4.共用部分が清掃されていない
- 5.共用設備に自分が使うつもりのない豪華施設がてんこ盛りである
- 6.まとめ
1.最寄り駅から徒歩10分以上の立地
マンションは何をおいてもまず、立地が最優先されます。
よく最寄り駅徒歩10分圏内という言葉を聞くと思いますが、マンションで徒歩10分は立地面でかなり劣ってきます。
マンションデベロッパーの目線で言えば、徒歩3~6分程度までが売りやすいのではないでしょうか。
(戸建て住宅であれば、土地価格との兼ね合いで徒歩10~15分もあり得ますが)
最寄り駅からの徒歩距離と平均取引価格(中古マンション)の関係を表したグラフです。左軸は坪単価(青線)、右軸は過去5年間の中古マンションの取引件数(橙線)を示しています。
このグラフからわかることは、当然のことながら、駅に近ければ取引価格は高く、駅から遠くなるほど、取引価格は安くなっていきます。
駅至近のマンションは土地そのものが限られているため、物件数も少ないと考えられますから当然、取引件数が少なくなっています。
一方、徒歩6分のマンションの取引件数が最も多くなり、徒歩7分~9分の物件は急に減り始めています。
取引価格についても、最寄り駅から徒歩で10分以上かかる場合、坪300万円を割り込んできています。
このことからも、マンションは立地が何よりも大切になってきます。
なお、マンションの価格は一般に、同一建物でも、階層、位置、日当たり、眺望、専有面積によって、大きく変わってきます。
特に新築時には角部屋や最上階はかなり高い価格設定がされていますが、中古になった場合、最上階や角部屋のプレミアム価格は新築時よりも小さくなる傾向があるため、中間住戸よりも角住戸は中古市場においては割安で購入できる可能性があります。
(不動産鑑定評価でも「階層別効用比」「位置別効用比」という言葉を使い、階層や位置によって価格差を設けています。)
2.立地は良くても専有部分に難あり
先にも述べたとおり、マンションの価格は、同一建物でも、階層、位置、日当たり、眺望、専有面積によって異なります。
なお、ここでいう価格で、特に注意したいのは「総額」ではなく「単価」です。
マンションはひとつづつ、専有面積の広さが異なるため、単に総額では比較ができません。そこで、総額を専有面積で割って、平米あたりの単価を計算してみましょう。
そうすると、同じ面積で比較したときに割安か、割高かを比較することができます。
ただし、専有面積には壁芯(隣の部屋との壁の中心から計測)面積と内法(内壁から計測)面積の2つの表示があるので注意してください。
新築分譲時のパンフレットに記載されているのは壁芯面積です。一方、登記簿謄本に記載されているのは、内法面積です。
一般に壁芯面積は内法面積より3~5%程度大きいため、登記簿面積しかわからないときは、登記簿面積に1.03~1.05をかけると、おおよその壁芯面積を推測することができます。
話を元に戻します。
専有部分で一般にマイナス要素になる点を挙げますので、参考にしてください。
(1)階層(低層階である)
1階~2階は空き巣被害に遭いやすく、同じマンションの同じ部屋にばかり空き巣が入るというケースがあります。2~3度空き巣に入れられて、売却を検討するケースもありますので、マンションを内覧する場合は、泥棒目線になって、ベランダ付近が植物で覆われていて、一見プライバシーが守られているような場所は、要注意かも知れません。
(2)位置(エレベーター前、ダストシューター前である)
エレベーター付近は、玄関扉の前を同じ階の人が常に、往来するため、ちょうど玄関を開けた瞬間にご近所さんと目が合あったり、室内が見られてしまう可能性があります。また、エレベーター前で子供がやかましく騒ぐこともあるでしょう。
ダストシューターなど、ごみを置く捨てる場所やなどが玄関近くにあると臭いの面や、衛生面でもマイナス要素となる場合があります。
(3)間取りが変である
ファミリー向けの広さ65~80平米以上にもかかわらず1LDKになっていたり、部屋の形状が長方形でなく、曲線が多い、三角形であるなどの場合、家具の配置が難しいケースが多く、使いつらいという話をよく聞きます。
※日当たり、眺望については実は人の好みや夜勤が多い生活スタイルなどであまり気にならない場合もあります。したがって、日当たりや眺望が悪いというのはマイナス要素というよりは、プラス要素ではないというだけの場合があります。
3.交通量の多い幹線道路・線路・高速道路に面している
これらは当然、騒音・振動の原因となり、窓を開けることが難しくなる場合があり、マイナス要因となります。
4.共用部分が清掃されていない
共用部分にごみやたばこの吸い殻が落ちていたり、エレベーター前に騒音やごみ捨てのマナーについての張り紙がたくさん貼られている場合などは、注意が必要な場合があります。
特に単身者向けのマンションなどで、所有者自ら居住しておらず賃貸されている住戸が多い場合には、騒音やごみ等のトラブルが生じていないか注意して観察する必要があります。
また、清掃が毎日か、それとも週何回か、管理人は常駐か、日勤か、ほぼいないか、なども管理組合やマンション管理規約で確認しましょう。
5.共用設備に自分が使うつもりのない豪華施設がてんこ盛りである
少し前のマンションでは、共同大浴場(温泉)がついていたりというものもありましたが、自分が使うつもりもない豪華施設の維持管理費まで支払うのはもったいないですよね。特に温泉施設の場合、ポンプの維持管理費が高額だそうです。
例えば、単身で居住予定なのにママさんのためのコミュニティールームがある、ゴルフをしないのにインドアゴルフコーナーがある、映画は見ないのに予約制で使用できるミニシアタールームがあるなど、ですね。
6.まとめ
マンション選びで大切なのは「立地」です。
これに尽きます。
これから人口が減っていくにつれ、必ずコンパクトシティーが訪れることになります。
何十年か経ち、足腰が弱ってきたときに、コンビニやスーパーが多い都市部に転居しようとしても、駅から遠く離れた築古の中古マンションを求める人はおらず、もはや資産としての価値がなくなっている可能性があります。
そうすると、立地的に不便なマンションを売却して、引っ越しすることができなくなる可能性があります。それとも、本当に50年後もそのマンション住み続けられますか?
今回の記事は不動産鑑定士であるケイから、マンション選びで失敗する方法についてご紹介いたしました。
マンション選びの参考にしてみてください。
納得するものを自分の目で見て、自分の頭で考えて選ぶ必要があります。
不動産屋さんも営業ノルマがあるでしょうし、物件を売ってナンボの商売ですので、場合によっては、立場をわきまえた話(ポジショントーク)をせざるを得ません。
あなたが「いいですね」と言えば、不動産屋さんも「はい、そうですよね」と相槌を打ちます。そのあたりは洋服店での客と店員の会話と同じかも知れないですね。
人生で最も大きな買い物になるものですので、後悔しないしないためにも、しっかり勉強してください。
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