そらいろ小町

世界35カ国を旅した不動産鑑定士のケイによる「人生が今よりもっと楽しくなるブログ」。取り扱うテーマは不動産、ドローン、旅行、人生、婚活など。

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無印良品「(仮称)MUJI HOTEL」 2019 年春開業の真相を読み解く

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計画の概要

株式会社良品計画は同社IR情報にて、東京都中央区銀座三丁目(並木通り)に2019年春、MUJI HOTELを開業する予定であることを発表しました。(写真は2017年7月5日のIR発表から引用)

株式会社読売新聞東京本社三井不動産株式会社による共同プロジェクトです。(「マロニエ×並木 読売銀座プロジェクト」)

建築中のビルの概要は、地下3階、地上10階建てで、地下1階~6階一部が店舗、6階一部から10階がホテルになる予定です。

 

東京電力銀座支社本館の跡地

もともとここは、東京電力銀座支社本館があった場所であり、2013年に東京電力読売新聞社に235億5500万円(㎡あたり2044万円)で売却した土地です。(土地面積は1152.30㎡)

銀座ほどの一等地でこれほどまとまった土地となると、この金額が安いのか高いのかパッとは分かりませんね。なお、すぐ付近に東京都地価調査基準地があり、2015年7月~2016年7月までの地価上昇率は+20%と大幅に上昇しています。

 

2011年の東日本大震災の後、経営合理化に向けて東電保有する資産の整理の対象となった不動産ということになります。

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グーグルストリートビューで当時のビルが見えます。

 

無印良品は2017年7月現在、国内452店舗、海外418店舗を展開しています。

特に中国には200店舗を出店しており、日本国内の出店数の約半分に迫っています。

海外店舗では無印良品の商品はどれも日本国内の価格設定よりも高くなっていますが、それでも無地良品の人気は高く、売れ行きは好調のようです。

 

東電からMUJIへ生まれ変わり

私が知る中国人や台湾人の友人は震災直後に、福島原発の事故のニュースを受け自国に帰国してしまいました。

そんな東京電力保有していた銀座の一等地が、逆に彼らを再び引き寄せる施設に生まれ変わるというニュースを見て、非常に感慨深い気持ちになりました。

少子化・人口減少によって経済は縮小傾向にありますが、それを防ぐ一つの方法が訪日観光客の増加です。

そのため、訪日観光客にとって、魅力的な施設がまた一つ誕生することは、非常に喜ばしいことだと思います。

 

初めてMUJI HOTELを開業する真意とは?

なお、大都市圏を中心とする駅前など人が多く集まる好立地の土地では、すでに土地価格が高騰により、事務所ビル用地、分譲マンション用地、店舗ビル用地としては不動産ディベロッパーは投資採算性が合わず、新規の取得を断念しているという話をよく聞きます。

しかし、ホテル用地としては現在の高騰した土地価格でも投資採算性が合うようです。

(みなさんの職場や住まいの近くの好立地の土地で新たにホテルの建築が進んでいるのは、このためです。)

 

すなわち、銀座の一等地で高額の家賃を、良品計画は店舗だけでは負担しきれないというのが本音のところかも知れません。

そのため、良品計画も国内で初めてホテル業態で出店することを決めたのだろうと推測します。

実際はベッドや棚などの家具が無印良品となり、ホテルのオペレーション自体はホテル運営業者が受注をするのかも知れませんね。

(注意)私自身はこのプロジェクトに一切関わっていないので、これはあくまで推測です。

 

いずれにせよ新しい試みで、魅力的な施設ができるのは待ち遠しいですね。

 

なお、IRにもありますが、MUJI HOTELは「日本」初とのとです。今年後半に中国深センに「世界」初のMUJI HOTELがオープンするとのことだそうです。  

 

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ワンルームマンション投資-表面利回りと実質利回りの違い

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不動産鑑定士のケイです。

先日発売の週間ダイヤモンドに「不動産投資の甘い罠」という特集記事がありました。

常々、鑑定の仕事をしていて感じることがそのまま書かれており、興味深く読めました。

 

 

 

 

実家の遊休地に建設する相続税対策のアパートについては、以前から国会でも問題として取り上げられており、皆さんもご存知と思います。

 

サラリーマンをしながら、副業として不動産投資を考えておられる方もいらっしゃると思います。

今回の記事はこれからワンルームマンション投資を考えている方にとってワンルームマンション投資が損か得かを判断する物差しとして、「利回り」と「借入金利」の関係について少し書きたいと思います。

 

表面利回りと実質利回りの違い

そもそも、利回りとは投資元本に対する毎年のリターンの割合を意味します。

これは、鑑定評価の中で「元本(投下資本)と果実(収入)の関係」と表現されます。

すなわり、例えば利回り10%とは1000万円投資すると、毎年の収入が100万円という意味です。

後で詳しく説明しますが、ひとくちに利回りと言っても、通常「表面利回り」と「実質利回り」があります。不動産鑑定評価では原則「実質利回り」を使います。

 

【例1】実質利回り10%

年間100万円の利益×10年=1000万円となり10年後に投下資本の回収が終わり、11年目以降、マンションから生み出される利益は100%の儲けとなります。

 

【例2】表面利回り10%

毎年100万円の総売り上げ×10年=1000万円ですが、ここでは固定資産税や入退去にかかる壁紙等のリフォーム費用、空室損は一切含まれていないため、10年後も未だ元本の回収さえも終わっていない状況になります。

 

 

しかし、ワンルームマンション投資等で営業マンがお客さんに説明する場合の利回りは、基本的には「表面利回り」をいうケースが多いです。

 

両者は必ず、表面利回りは実質利回りよりも大きいという関係が成り立ちます。

※「表面利回り>実質利回り

 

1.「表面利回り」とは

年間総収益(満室想定家賃)を物件購入価格で除したものとなります。

 

例)1.物件購入価格

    1600万円

  2.年間総収益(満室想定家賃)

    月額家賃(共益費込)7万円×12ヶ月=84万円

  3.表面利回り(年間総収益÷物件購入価格)

    84万円÷1600万円=表面利回り5.25%

 

2.「実質利回り」とは

年間純収益(総収益ー総費用)を物件購入価格で除したものとなります。

 

例)

  1.物件購入価格

    1600万円

  2.年間純収益

   (1)総収益

     ①家賃(共益費込)

      月額家賃7万円×12ヶ月=84万円

     ②空室等損失相当額

      月額家賃7万円の1ヶ月程度=7万円

      ※賃借人の入れ替え期間や空室期間

     ③総収益

      ①ー②=77万円

   (2)総費用

     ①維持管理費(管理費)

      0.5万円×12ヶ月=6万円

     ②修繕費(修繕積立金

      0.3万円×12ヶ月=3.6万円

     ③プロマティマネジメント費用(集金代行、入退去管理費用等)

      ※家賃収入の2〜3%

      84万円×3%≒2.5万円

     ④テナント募集費用(賃貸仲介会社への仲介手数料)

      ※平均2年に1回の入退去。家賃の1ヶ月分。

      7万円÷2年=3.5万円

     ⑤公租公課(固定資産税・都市計画税

      ※ワンルームの場合(おおよそ)

      5万円

     ⑥損害保険料(火災保険)

      1.5万円(おおよそ)

     ⑦総費用

      ①〜⑥の合計=22.1万円

   (3)純収益

      (1)の③総収益ー(2)の⑦総費用=54.9万円

  3.実質利回り(2.年間純収益÷1.物件購入価格)

    54.9万円÷1600万円≒実質利回り3.43%

 

上記の例で、同一の物件でも表面利回りは5.25%、実質利回りは3.43%になりました。この数字はワンルームマンションではよくある数値だと思います。

 

実際に必要な費用が一切考慮されていないのが表面利回りです。

 

 

 

銀行からの借入金利と実質利回りの差が本当の儲け

現金で投資用マンションを購入するのであれば、理論的には利回り3.43%で運用が可能となります。

しかし、一般のサラーリーマンが不動産投資を始める場合、不動産投資用のローンを組むことが多いと思います。

 

この場合、一般に現在の借入金利は2.45〜4.5%程度が多いと思われます。

 

そうすると、1600万円の投資に対して、年間のリターンが3.43%となるのに対して、資金調達費用(利息)が年間約3%必要となると、最終的な手残りは、

3.43%ー3%=0.43%

になります。

 

1600万円の借金をして、1000万円の1年定期預金金利(0.2%)とほぼ変わらなくなってまいます。

 

 

ノルマが厳しい営業マンが表面利回りと実質利回りの違いを説明せずに、儲け話として勧誘するケースも中には見受けられます。

たまに、ぼくの携帯電話にも関西地方の不動産業者からワンルームマンション投資の勧誘電話がかかってきます。その営業マンに利回りについて説明してもらい、借入金利を考慮した後には、マイナスになっていることもあります。

 

まとめ

不動産投資においては、表面利回りと実質利回りと借入金利の差を念頭に置くことが重要だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

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堀江貴文著「多動力」から読み解く小池百合子都知事のしたたかな戦略

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こんばんは。不動産鑑定士のケイです

 

先日の2017年都議会議員選挙で都民ファーストが圧勝しました。

たまたま堀江貴文著「多動力」を読んでみたら、小池都知事の戦略が見えたので書こうと思います。

教養なきものは奴隷になる

 教養なきものは、「今」という時代の変化に振り回され、目の前の仕事をこなす歯車で終わってしまう。

 

 

ホリエモンは自身が有罪となった事件をきっかけとして、なぜ検察に狙われたのか調べたところ、検察の力が政治的権力に利用されていることを調べ上げたところ、こんな図式が浮かび上がったのです。

 

1.マスコミが「仮想敵」を煽れば検察が動く

2.検察が「仮想敵」を起訴し、「仮想敵」は有罪となる

3.一連のストーリーを作った人物が世論の支持を受ける

 

ホリエモンの事件の場合、諸説ありますが、wikipediaによると「ライブドアに買収されそうになったフジテレビは調査チームを設置し、ライブドアの違法行為をみつけ出して検察に摘発を打診していた」ともあり、何者かが裏でマスコミを扇動していた可能性を推察することができます。ライブドア事件 - Wikipedia

 

話を小池都知事に戻してみましょう。

小池都知事が都知事就任直後に豊洲移転問題が勃発し、結果的には100条委員会が設置され、石原前都知事の証人喚問が行われました。

 

この出来事から読み取れるのは、小池都知事がマスコミを利用して石原前都知事を「仮想敵」に仕立て上げ、世論を扇動し、検察を動かし、その結果として世論の支持を受けようとの意図があったと考えられるのではないでしょうか。

 

豊洲問題」無くして、都民ファーストの圧勝は無し得なかったと思うのはぼくだけでしょうか。

 

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

 

 

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