住宅価格指数を見ればマンション購入が失敗だと分かる理由
不動産鑑定士のケイです。
昨今、東京オリンピックの景気の回復により、土地価格および建物建築費用が高騰し、新築マンションも中古マンションも数年前に比べると相当値上がりしています。
マイホーム購入を考えている人にとっては、一刻も早く購入しなければ、さらに高くなってしまい、夢のマイホーム購入が実現できなくなるかも・・・と焦っている方も多いと思います。
しかし、マイホーム購入はあと数年待ってから、または一生購入しない方が得になる可能性があります。
不動研住宅価格指数とは?
日本不動産研究所が公表している不動研住宅価格指数というのをご存知ですか?
不動研住宅価格指数とは・・・
2015年1月より公表開始した「不動研住宅価格指数」は、株式会社東京証券取引所の「東証住宅価格指数」を引き継ぐもので、公益財団法人東日本不動産流通機構より提供された首都圏既存マンション(中古マンション)の成約価格情報を活用し、同一物件の価格変化に基づいて算出された指数です。既存住宅の価格動向に関する国際的に比較可能な指標として、今後海外からの日本既存住宅への投資も増大すると予想されており、既存住宅流通市場の活性化を図ることを目的として実施しています。
日本不動産研究所とは、不動産鑑定評価を行う会社としては日本最大の会社であり、不動産に関する各種統計を長年にわたって公表しています。また、尖閣諸島問題や東京駅の駅舎復元において、魚釣島や東京駅の容積率売買に絡む鑑定評価を行ったもの日本不動産研究所と言われており、不動産分野における信頼度は大変に高いと言えます。
上記が、その統計資料です。
これは、1993年~2017年までの首都圏における中古マンションの成約情報に基づく指数の推移を表しています。
バブル崩壊以降、下落を続け、ITバブルで一度上昇したものの、リーマンショックと東日本大震災でまた下落基調となり、その後2013年頃からは価格が上昇基調に入っています。
しかし、このグラフで注目すべきは、バブル崩壊以降、上昇基調の時もあるが、5年、10年単位で見た場合には、下落基調に変わりはないのです。
つまり、あなたが買おうとしているマイホームも、1年、2年の短期で見れば、新築購入価格よりも高く売却することも可能かもしれませんが、5年、10年の期間で見れば、購入する不動産の価値が下がることは明らかです。
なぜ今、不動産価格が上昇しているのか?
第1の理由
現在の景気は日銀による金融拡大政策による部分も大きく、低金利を背景に不動産投資が拡大している面が大きいです。
アメリカが利上げを段階的に実施しているのと同様、日本銀行もいずれ金利上昇局面に移る可能性があります。
また、早期の利上げがない場合でも、最近金融庁が銀行の不動産に絡む融資姿勢について好ましくない旨の発言をしていることから、今後、不動産投資にかかる融資は控えられる可能性があります。
不動産投資家は銀行からの借り入れを原資として不動産を購入していることから、銀行からの融資が受けにくくなれば、不動産を購入することができず、不動産に対する需要が減少することから、不動産価格は下落に転じる可能性があります。
第2の理由
また、これ以外に建築費の高騰が挙げられます。
なぜ最近建築費が上がっているのか?
その理由は、民主党政権時代に、公共投資を減らしたことで、建設業の売上が落ちた結果、建設業者の廃業と労働者のリストラにより建設業界が縮小したところに、東日本大震災の復興特需とオリンピックに向けた整備等の急激な需要増加が発生し、人手不足・資材不足で建築費が高騰したことによります。
したがって、震災の復興とオリンピックがある程度落ち付くとともに、自民党政権によって建設業者が増加することで、建築費は下落傾向に向かうと予測できます。
建築費が下落すれば、新規マンションの建築費用が下がり、分譲価格も下落することになるでしょう。
新築分譲価格が下落すれば、これまで予算の都合上中古マンションを購入していた所得層の人々が新築マンションを購入するようになり、既存の中古マンションに対する需要が減少することになります。その結果、中古マンションの価格は下落する可能性があります。
よって、上記の2つの理由から考えると、近年の不動産の価格の上昇はいずれ止まり、不動産価格は下落に転じる可能性が高いと言えます。
不動産はいつが買い時か?
不動産という資産価値が上昇する局面においては、転売による売却益が見込めることから、上昇局面では短期的には買い時といえます。
しかし、5~10年単位で考えた場合、先の統計で紹介したとおり、不動産価格は下落基調にあるのは変わりません。
そうすると、不動産が下落基調にあるときに、ローンを組んで不動産を購入することは、借金をして価格が下落する株式を購入することと同じです。
よって、筆者の個人的な考えですが、短期的に見て上昇基調にあっても、長期的に見れば下落基調にある不動産を購入すべきではないと思います。
今回の記事はいかがでしたか。
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